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障害年金は、病気やけがで仕事が出来なくなってしまったり、働く時間を制限されてしまったりなど、働きたくても思うように働けない方が現役世代も含めて受け取ることができる年金です。

障害年金は申請した誰もが受給できる年金ではありません。必要な要件を満たし、申請書類を提出しなければ受給にたどり着けないのです。

そこで今回は、障害年金を受給するための要件とはどんなものなのか。大事なポイントを押さえながら解説していきたいと思います。

障害年金で抑えておきたい3つの受給要件

まず障害年金を申請する際に必ず押さえておきたい3つの受給要件があります。

『初診日要件』・『保険料納付要件』・『障害程度要件』です。

この要件は3つすべてを満たしていないと受給が難しくなりますので、一つ一つ丁寧にみていきましょう。

初診日要件

まず初診日とは、現在の病気やけがを最初に医療機関で診てもらった日の事です。ここで大事なポイントは、現在の病気やけがの病名が診断された日ではないという事です。

例えば、現在は精神疾患で通院しているが、最初は吐き気や頭痛などで内科を受診していた場合、その内科を最初に受診した日が初診日となります。(一般的に考える初診日と障害年金の申請で考える初診日には少し違いがありますのでご注意ください。)

また他にも初診日が下記のいずれかに該当している必要があります。

  • 国民年金か厚生年金のどちらかに加入している
  • 20歳未満
  • 日本国内在住で60歳以上65歳未満(年金制度に加入していない)

なぜ初診日が大切なのか?

私たちが障害年金の申請代行をする際、最初に確認するのが初診日です。初診日当日に加入している年金の種類で申請できる年金の種類が変わるので大事なポイントになります。

また初診日を特定できない場合、障害年金を受け取ることができない場合もあるのです。

初診日が定まって初めて他の要件の確認すべき期間が決まるので、初診日をしっかりと特定する事が大切になります。

初診日の具体的な例

・初めて診察を受けた日

その傷病の専門医でなくても初診日として認められます。また途中転院した場合でも最初に医療機関で診察を受けた日が初診日となります。

・健康診断で異常が確認され療養に関する指示を受けた場合

健康診断自体は初診日として認められませんが、初診日の医師の証明が出来ない場合は健診日を証明する資料として認められます。

・過去に治癒した傷病が再発した際

過去の傷病が治癒したのちに再発した場合は、別の傷病としての扱いとなる可能性があります。この場合の初診日は再発後、最初に医療機関を受診した日になります。

・先天性の知的障害(精神遅滞)は産まれた日

先天性の傷病のすべて出生日が初診日になるわけではありません。症状に幅のある傷病(先天性心疾患や発達障害など)は具体的な症状が出現した際に初めて診療を受けた日が初診日となります。

保険料納付要件

保険料納付要件とは、「いままで年金保険料をどのくらい納めていたのか」を問われます。ただし、先程説明しました初診日が20歳前にある場合は、納付要件は申請に必要ないので今回の納付要件以外の要件を満たしていれば請求できます。

納付要件のポイントは2つです。

  1. 初診日の直近1年間に保険料の未納期間がないこと
  2. 保険料納付済期間と保険料免除期間の合計した期間が被保険者期間の3分の2以上であること(保険料の滞納期間が1/3を超えないこと)

上記の1と2のどちらかを満たしていない場合、重度の障害があり他の要件を満たしていても請求は却下されてしまいます。この納付要件を確認するときにも初診日を基準に期間が決まります。

保険料の納付要件は、年金機構が管理している年金記録で確認します。年金事務所が納付要件を確認する際には初診日の前日の記録を見るため後から急いで未納分を納めても間に合いません。老齢年金では過去の未納分をまとめて納めても納付にカウントされますが、障害年金では未納扱いになりますのでご注意ください。

障害程度要件

障害程度要件とは、障害認定日に国が定める『国民年金・厚生年金の障害認定基準』に該当しているかどうかです。現在の傷病や障害がこの基準に該当していない場合は受給ができません。またその基準は身体障害者手帳の等級とは異なりますのでご注意ください。

障害認定日とは

聞きなれない言葉ですが障害認定日を簡単に説明しますと、

  1. 障害年金で請求する傷病の初診日から1年6ヵ月を経過した日
  2. 初診日から1年6ヵ月以内に傷病が治った(※1)場合にはその傷病が治った日

※1 治った日とは傷病の症状が固定して、これ以上の治療効果が期待できない状態になった日(症状固定日)も含まれます。例えば、脳疾患を患い身体に麻痺が残っている場合など。症状固定は医師の判断となります。

障害認定日はなぜ大事?

障害年金の受給を決める審査では、障害認定日の障害程度が審査の対象になるためです。また障害年金の申請で障害認定日当時の診断書で支給が認められれば、遡及申請により障害認定日の翌月分まで遡って支給となります。障害年金には5年の時効がありますので、障害認定日が5年以上前の場合はできるだけ早く申請することで時効によって消えてしまう年金を受け取ることができます。

等級の違いによる障害の状態について

ここでは障害年金の等級を判断する際に目安とされる傷病の状態を等級別にご紹介します。

  1. 障害等級 1級

身のまわりのことはかろうじてできるが、それ以上の活動はできないもの又は行ってはいけないもの。病院内の生活でいえば、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもので、家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね就床室内も限られるもの。

  1. 障害等級 2級

家庭内の極めて温和な活動(軽食作り、下着程度の洗濯等)はできるが、 それ以上の活動はできない、又は行ってはいけないもの。病院内の生活 でいえば、活動の範囲がおおむね病棟内に限られるもので、家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね家の中に限られるもの。

  1. 障害等級 3級

労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度 のもの。 また、「傷病が治らないもの」にあっては、労働が制限を受けるか又は労働に制限 を加えることを必要とする程度のものとする。(「傷病が治らないもの」については、 第3の第1章に定める障害手当金に該当する程度の障害の状態がある場合であって も3級に該当する。)

  1. 障害手当金

「傷病が治ったもの」であって、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のものとする。

参照元:国民年金・厚生年金保険 障害認定基準|日本年金機構

障害年金の受給資格に関するよくある質問

ここでは受給要件に関してお問い合わせの多いご質問を紹介します。

障害年金の受給に年齢制限はありますか?

障害年金の受給は基本的に20歳からで年齢による上限はありません。

例外として20歳になる前に会社員として働き、10代で障害を負った場合などは20歳になる前に障害厚生年金が支給される場合があります。

障害年金の受給決定後は障害の程度が障害年金で定める基準に該当している間は受給を続けることができます。年齢により支給が停止されることはありません。

年収は障害年金の受給に影響しますか?

基本的には収入の制限はありません。受給要件を満たしていれば所得とは関係なく障害年金を受給することができます。ただし、以下の2つが例外になりますのでご注意ください。

  1. 20歳前に生じた障害によって障害基礎年金を受給する場合
  2. 特別障害給付金を受給する場合

障害年金における所得制限について詳しく知りたい方はこちら

知的障害者の受給要件が知りたい

知的障害も他の傷病と同様に受給要件を確認しますが、知的障害は先天的な障害とされていますので要件は以下のようになります。

  1. 初診日要件…初診日は生れた日になるので証明は原則不要です
  2. 保険料納付要件…生まれた日が初診日になるので納付要件は問われません
  3. 障害程度要件…知能指数だけではなく日常生活のさまざまな場面でどのくらいの支援が必要なのかを総合的に判断し、障害等級に該当する必要があります。

知的障害者における障害年金について詳しく知りたい方はこちら

障害年金の受給要件まとめ

障害年金の受給には「初診日要件」「納付要件」「障害程度要件」の3つの要件をすべて満たす必要がありました。

3つの要件を漏れることなく確認するためには、まず初診日を特定し申請する年金の種類を確定させます。初診日の特定ができたことにより保険料納付要件の確認期間が決まりますので、未納期間など要件をクリアしているかチェックしてください。(お手元に届く年金定期便などで確認することができます)

最後に障害認定基準を参考に障害認定日の症状がどの等級に当てはまるのか確認し、申請の準備を進めましょう。申請書類が多く申請をする時間がない、また要件に当てはまるのかわからないなど申請についてお困りの方は、無料相談も行っておりますのでお気軽にお問い合わせください。