2022年からはじまる社会保険の適用拡大、事前対応できていますか?
2021年05月05日
社会保険の適用拡大は、企業にも働く人にとっても、大きな影響を与えます。
2022年からはじまる社会保険の適用拡大ですが、従業員数500人超(501人以上)規模の企業においては、すでに2016年からスタートしています。
それが、2020年5月29日に成立した年金制度改正法により、パートやアルバイトでも要件を満たす場合には、社会保険の被保険者となるよう、適用が拡大されることになったのです。
適用拡大要件のポイントをを確認していきましょう。
企業規模によって、適用拡大の開始時期が異なります
企業の従業員規模によって、適用の開始時期が異なります。
1.既にスタートしている企業
- 2016年10月〜従業員数500人超(501人以上)規模
- 2017年4月〜従業員数500人以下の企業(労使合意により、適用拡大が可能)
2.今後スタートする企業
- 2022年10月〜従業員数100人超(101人以上)規模
- 2024年10月〜従業員数 50人(51人以上)超規模
従業員の要件によって、適用に該当するか判断されます
従業員の要件によって、社会保険の被保険者に該当するか判断されます。従来の従業員要件に加え、以下の4つの要件をすべて満たす従業員(短時間労働者)は、被保険者になります。
【従来の従業員要件】
・正規従業員/フルタイム従業員
・週の所定労働時間数および月の所定労働日数が、正規従業員の4分の3以上であるパート・アルバイト等
【新たに広がった従業員要件】
正規従業員の所定労働時間および所定労働日数が4分の3未満であっても、以下の4つの要件をすべて満たす従業員(短時間労働者)は、被保険者になります。
- ①週の所定労働時間が20時間以上あること
- ②雇用期間が2ヶ月超えを見込まれること
- ③賃金月額が8.8万円以上(年収106万円以上)であること
- ④学生でないこと
すべての要件を満たした人が短時間労働者も被保険者となります
今回の改正では、この短時間労働者への社会保険の適用拡大が行われることになり、すべての要件を満たした人が短時間労働者も被保険者となります。要件の詳細は、以下となります。
①週の所定労働時間が20時間以上あること
週の所定労働時間は、原則、契約上の労働時間が20時間以上あることで判断します。したがって、残業など臨時の労働時間は含みません。ただ、週の所定労働時間が20時間未満であっても、実労働時間が2ヶ月月連続して週20時間以上となり、引き続き20時間以上見込まれる場合には、3ヶ月月目から社会保険が適用されるなど、実態の労働時間が重視されます。
②雇用期間が2か月超見込まれること
雇用期間が2ヶ月超えを見込まれるかどうかで判断します。ただし、雇用契約期間が2ヶ月以内であっても、実態が2ヶ月を超えて使用される見込みがある場合は、雇用期間の始めから遡及して適用対象となります。たとえば、雇用期間が2ヶ月以内でも、以下のような場合は、遡及して適用を受けます。
・就業規則、雇用契約書等で、「更新ありの旨」「更新される場合がある旨」が明示されている
・同じ職場で、同様の雇用契約で雇用されている従業員が、更新等で契約期間を超えて雇用された実績がある
③賃金月額が8.8万円以上であること
賃金月額が8.8万円以上であることが必要です。
時間外手当、休日・深夜手当 、賞与や業績給、慶弔見舞金など臨時に支払われる賃金、精皆勤手当、通勤手当、家族手当などは含まれません。
④学生でないこと
学生は、社会保険の適用対象外となります。ただし、卒業前に就職したり、卒業後も引き続き同じ会社に雇用される場合などは適用対象となります。
適用拡大のスケジュール
2016年10月〜 | 2022年10月〜 | 2024年10月〜 |
---|---|---|
従業員数500人 |
従業員数100人超 |
従業員数50人超 |
週の所定労働時間20時間以上 |
週の所定労働時間20時間以上 |
週の所定労働時間20時間以上 |
雇用期間が1年以上見込まれる |
雇用期間が2ヶ月超見込まれる |
雇用期間が2ヶ月超見込まれる |
賃金月額が8.8万円以上 |
賃金月額が8.8万円以上 |
賃金月額が8.8万円以上 |
学生でないこと |
学生でないこと |
学生でないこと |
出典元
参考「被用者保険の適用拡大」厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000580752.pdf