【2021年度】今、押さえておきたい助成金セミナーレポート
2021年08月06日
2021年6月、中小企業の経営者・監督職・総務担当者の方に向けた【今、押さえておきたい助成金】セミナーをオンライン開催しました。事業主のみなさんが活用できる助成金・補助金の種類は多々ありますが、実際に活用するためには内容や申請について知る必要があります。
そこで本セミナーでは、そもそも助成金・補助金とはどのようなものか。なぜ、国はお金を出すのか?といったところから、「押さえておきたい5つの助成金」について改定になった点も含めご紹介しました。
それでは、さっそくセミナーレポートをお届けしていきます。
■目次
1.助成金・補助金の違い
2.助成金・補助金の目的と背景
3.中小企業が押さえておきたい5つの助成金
4.まとめ
1.助成金・補助金の違い
まず、みなさんは助成金と補助金の違いを知っていますか?
助成金も補助金も、国や自治体が事業主の活動などに対して予算の中から交付するお金であり、事業主にとっては返還しなくてもいい “もらえるお金” になります。
補助金は、主に厚生労働省が、従業員や雇用に関する政策の目的を達成するために、企業にお金を交付する制度です。
それに対して助成金は、経済産業省や自治体が、起業家や中小企業を支援する制度のことをいいます(たとえば、ものづくり補助金やIT補助金など)。
いずれも、社労士をはじめコンサルタントや中小企業診断士が申請に伴うサポートができますが、助成金の提出代行に関しては社労士のみが対応可能となっています。
※助成金の申請書の申請書の作成及び行政機関への提出は、社労士法により社労士の業務と定められています。
社労士に代行するメリット
申請書類の作成から提出まで一括で代行が可能
専門家に依頼していただければ、最新様式の書類作成に対応し、行政機関との対応まで、代行いたしますので、事業主様は自分の事業に専念することができます。
法定帳簿や就業規則等必要書類を完備
助成金の申請手続には、法定帳簿や就業規則といった書類の提出が必要となることが多々あります(法定帳簿があることを前提に計画書の作成や労務環境改善の目標を設定することになります)。労務のプロである社労士に依頼することで従業員とのトラブルを防ぎ、助成金制度を活用することが出来ます。
常に最新の助成金の情報を入手できる
助成金の制度や要件は毎年のように内容が変わっていきます。社労士は毎年変わっていく助成金の情報を事前にリサーチし、申請手続きの方法、受給のための取り組みを把握していますので、その時の状況に合わせて、受給可能な助成金の提案が可能です。
2.助成金・補助金の目的と背景
そもそも、なぜ国は助成金・補助金といったお金を出すのでしょうか。それは2019年から進めてきた「働き方改革」が背景としてあります。この政策の実現に向け、事業主をサポートするために給付しています。
では、事業主が助成金・補助金を活用する目的はどんなものが考えられるでしょうか。わかりやすいものとして「資金調達」がありますが、その資金を使って以下のような施策を進めることが肝要だと考えています。
- 社内の環境の整備
- 離職率の低下、人材確保
- 生産性の向上
そのためにも、まずは現在の雇用環境や人材活用の見直しが必要であり、1年後・5年後に向けてどういう風になっていったらいいのか。事業主側の方向性と、国の実現したい政策に伴い給付される助成金・補助金、ここが一致しているのであれば使わない理由がありません。最大限に活用していきましょう!
3.中小企業が知っておきたい5つの助成金
続いて事業主のみなさんにとって、今年度注目の助成金を5つご紹介します!すべての助成金が当てはまるわけではないかと思いますが、必要なときに活用できるよう、どのような助成金があるのか知っておきましょう。
ここでは簡単に、それぞれの助成金の概要とポイントをお伝えします。
①雇用調整助成金
雇用調整助成金とは、新型コロナウイルス感染症の影響により事業活動の縮小を余儀なくされた場合に、雇用調整(休業)を実施する事業主に対して、休業手当などの一部を助成するものです。
▼参考:厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html
- ポイント①
特例期間が、2021年11月末日まで延長になると発表がありました。(2021年8月17日) - ポイント②
4月と5月を境に1日の上限額や助成率が変わりましたが、従来の上限額と助成率が維持される要件として、地域特例や業況特例があります。支給様式が大きく変更になっているので注意しましょう。 - ポイント③
今後は申請後の調査が入ってくることが予想されます。調査対策として、労働者名簿や賃金台帳などの必要書類を確認しておきましょう。
②キャリアアップ助成金(正社員化コース)
キャリアアップ助成金とは、有期雇用労働者・短時間労働者・派遣労働者などの非正規雇用の方を、企業内でのキャリアアップを促進して正社員化する。本取組を実施した企業に対して助成をするものです。
▼参考:厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html
- ポイント①
正社員に変わった際に、基本給など賃金上昇を5%以上しなくてはなりませんでしたが、3%に変更になりました。また、その3%に賞与は含まれません。 - ポイント②
「有期→正規」「有期→無期」「無期→正規」の3パターンによって、支給額が異なります。 - ポイント③
派遣労働者を派遣先で直接正社員雇用するなど、いくつかの条件に当てはまる場合は支給額が加算されるケースがあります。また、加算対象に短時間正社員が追加されました。
③両立支援等助成金
- 両立支援等助成金(出生時両立支援コース)
男性労働者が育児休業や育児目的休暇を取得しやすい職場風土作りに取り組み、職業生活と家庭生活の両立支援のために助成されるものです。 - 両立支援等助成金(介護離職防止コース) ※中小企業のみ
介護支援プランを作成し、労働者の円滑な介護休業の取得・職場復帰のために助成されるものです。
▼参考:厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/shokuba_kosodate/ryouritsu01/index.html
- ポイント①
男性労働者への育児休業取得に関する個別周知が、2022年4月から義務になります。今後、助成金がなくなる可能性もあるため、活用できるうちに活用しましょう。 - ポイント②
介護離職防止支援コースは、休業取得時と職場復帰時の2つのタイミングで助成金を受給できます。なお、休業取得者と職場復帰者は同一であることが必要です。 - ポイント③
いずれも、休業期間に関わらず支給申請期間が設けられているため、申請の際は注意しましょう。
④65歳超雇用促進助成金
- 65歳超雇用促進助成金(65歳継続雇用促進コース)
65歳以上への定年引上げ等、高年齢者の雇用の推進を図るために助成されるものです。 - 65歳超雇用促進助成金(高年齢者無期雇用コース)
50歳以上定年未満の有期契約労働者を無期雇用に転換し、雇用促進を図るために助成されるものです。
▼参考:厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139692.html
- ポイント①
65歳までの雇用機会の確保は義務とされていますが、65~70歳の就業機会を確保することも努力義務となりました。 - ポイント②
65歳継続雇用促進コースは、制度実施の要件が3パターンあり支給額が異なります。 - ポイント③
高年齢者無期雇用コースは、キャリアアップ助成金との併給はできません。50歳以上の方である場合は、本コースで申請した方が支給額も大きく賃金上昇の要件もありません。
⑤人材確保等助成金(テレワークコース) ※中小企業のみ
人材確保等助成金(テレワークコース)とは、良質なテレワークを新規導入・実施することにより、労働者の人材確保等の効果をあげるために助成されるものです。
▼参考:厚生労働省ホームページ
>https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/telework_zyosei_R3.html
- ポイント①
要件は大きく分けて2つあります。「機器等を導入することにより助成されるもの」と「職率などの目標達成により助成されるもの」です。 - ポイント②
要件により、支給額が異なります。 - ポイント③
要件や支給申請期間が細かく煩雑なため、社労士などによるサポートを受けて申請を行うといいでしょう。
4.まとめ
ここまで、助成金・補助金についてご紹介していきました。
国で抱える問題、世の中で起こっている変化に伴い、わたしたちも変わっていくことが求められます。その過程で、活用できる助成金がありましたらご検討いただくことをおすすめします。
「この助成金について、くわしく聞きたい」「雇用環境の見直しのヒアリングをしてほしい」などありましたら、ぜひこの機会にご相談ください。
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